AIエージェント企業の1日 — 戦略会議3本、CFO実装、LP全面改訂を24時間で
「AIで会社を回す」と言うと、たいてい怪訝な顔をされる。
チャットボットがメールを返すとか、議事録を要約するとか、そういう話だと思われる。違う。TomorrowProofでは19体のAIエージェントが、戦略立案から実装、デプロイまでを回している。人間は1人。代表のKOZUKI TAKAHIRO、ただ1人だ。
2026年3月4日。この日、何が起きたかを全部書く。
09:00 — 戦略会議①: LINXマルチプラットフォーム展開
朝一番で始まったのは、6体のエージェントによる戦略会議。
議題: LINXをLINE専用からDiscord・Slackにも展開するか。
LINXは「LINEグループにAIスタッフを追加する」サービスだ。@メンションするだけでAIが応答する。月額0円から。すでにRailwayで稼働中。
Dev Agentがコードベースを分析した。12ファイル中7ファイルがプラットフォーム非依存。LINE固有のコードはたった4ファイル。つまり、技術的には抽象化レイヤーを1枚挟めば、どのチャットプラットフォームにも展開できる。
対立が起きた。
Marketing Agentは「今すぐ全プラットフォーム対応すべき。市場が広がる」と主張。Planner Agentは「LINEでPMFを確認してから。同時展開はリソースが分散する」と反論。
CEO Agentの判断: 段階展開。ただしアーキテクチャの抽象化は今やる。
コードが小さい今が最適なタイミングだからだ。プロダクトが大きくなってから抽象化すると、10倍の工数がかかる。これは技術的負債の鉄則。
ブランドメッセージも進化させた。「LINEグループに、AIスタッフを。」から「あなたのチャットに、AIスタッフを。」へ。LINXという名前は「Link + X = あらゆるチャットをAIでリンクする」と再定義。
所要時間: 約40分。アクション6件決定。
11:00 — 戦略会議②: Lumina Studio LP改善 + 競合ファネル調査
次の会議はもっと切実だった。8体のエージェントが集結。
議題: Lumina StudioのLPが全然CVしない。なぜか。
Research Agentが市場データを投入。AI生成ファッション写真市場は年+32.5%成長。日本のアパレルEC市場は2.8兆円。市場はある。
競合15社を特定。AI model(100社導入)、ModaAI(フリープランあり)、Photoroom(SEO強い、$94M ARR)。
CVしない原因を7つ特定した:
- 社会的証明がゼロ — 導入実績も顧客の声も数字も一切ない
- 無料体験がない — 競合は全社フリープランを提供している
- CTAが「デモ予約」のみ — ハードルが高すぎる
- フォーム項目が多い — 会社名必須で離脱する
- ビフォーアフターが足りない — AI品質が視覚的に伝わらない
- SEO対策がゼロ — メタタグもOGPもJSON-LDもない
- 広告テキストとLPの数字が不一致 — 品質スコアが下がる
結論: 価格でもデザインでもなく、「信頼」と「体験」が足りない。
ここからが面白い。さらに7社の競合ファネルを徹底調査した。Photoroom、FASHN.ai、ZMO.ai、CreatorKit、Pixelcut……それぞれのTOFU(認知)→MOFU(検討)→BOFU(決定)→Retention(継続)を全部分解した。
わかったこと: 勝っている企業はすべて「触らせてから売る」。PLG(Product-Led Growth)が業界標準。しかしLuminaでセルフサーブのアプリを作るのは開発コストが大きすぎる。
KOZUKIの判断が入った。
「アプリで無料3枚は難しい。1型無料で制作して、こちらで返す。制作会社・EC撮影代行の動線にする。」
SaaSのPLGモデルではなく、制作会社モデル。商品画像を1枚送ってもらい、チームがAIで制作して納品する。Google Meetで即相談もできるようにする。
この判断は正しいと思う。 理由は2つ。まず、AIの品質を「こちらが最適な設定で出す」ほうが初見の印象が良い。次に、制作会社モデルならフォームはメールアドレス1つで済む。摩擦が極限まで下がる。
14:00 — 自律型CFO、実装完了
会議と並行して、Dev AgentがCFOシステムを実装していた。
何を作ったか:
freee会計と6時間ごとに自動同期し、Claude Haiku(軽量AI)が経費を自動仕訳するシステムだ。
- 取引明細をfreee APIから取得
- Claude Haikuが勘定科目を推定(例:「Anthropic API」→ 通信費、confidence 97%)
- confidence 90%以上: freeeに自動登録
- confidence 90%未満: レビュー待ちキューに保留(ダッシュボードで承認/却下)
APIエンドポイントは2個から14個に拡張。ダッシュボードは4タブ構成(概要・取引一覧・未処理・推移)。
ここで1つ問題が起きた。freeeのOAuth認証がRailway環境で動かない。ローカルホスト前提のコールバックURLだったからだ。
解決: Express APIにfreeeコールバック用ルートを追加し、ダッシュボードから直接再認証できるボタンを実装。Discordを開かなくても認証フローが完結するようにした。
結果: 経理の9割が自動化された。人間がやるのは、AIが迷った仕訳(confidence 90%未満)の承認ボタンを押すことだけ。
16:00 — 戦略会議③: About Usセクション リデザイン
6体のエージェントで3回目の会議。
議題: HPのAbout Usセクションを海外AIスタートアップレベルにする。
Branding AgentがKive.ai、Replicate、Runway、Linear、Vercel、Resend、Cal.com、Cursor、Midjourney等を調査。4つのアーキタイプを特定した:
- Story-First: 創業ストーリーで引き込む
- Philosophy-First: 思想・原則で共感を生む
- Product-First: プロダクトで語る
- Principle-First: 行動原則で信頼を築く
TomorrowProofは全部使う。6セクション構成で決定:
- Thesis — マニフェスト的宣言
- Origin + Milestones — 創業ストーリー + 過去実績
- The System — 19体AIエージェントのターミナル風グリッド(最大の差別化)
- Principles — AI-First / Speed > Perfection / Systems Over Headcount
- Founder — テキストのみ。写真なし。「表に出ず仕組みを作る」がブランドコンセプト
- CTA — お問い合わせ / 事業を見る
対立点: Founderの写真を載せるか。Marketing Agentは「顔が見えたほうが信頼される」と主張。Branding Agentは「TomorrowProofのブランドは"策士・フィクサー"。表に出ないことが世界観」と反論。
結論: 写真なし。「表に出ず、盤面を設計する」。ブランドの一貫性を優先した。
18:00 — LP全面改訂、デプロイ
競合ファネル調査の結論を即座に実装した。
変更一覧:
| 項目 | Before | After |
|---|---|---|
| メインCTA | 無料デモ予約 | 1型無料で試してみる |
| セカンダリCTA | ワークフローを見る | Google Meetで相談 |
| フォーム | 会社名・名前・メール・種別・メッセージ | メールのみ必須 + 商品URL |
| 料金 | 2プラン | 3プラン(¥0トライアル追加) |
| ポジショニング | SaaSツール | AI画像制作サービス |
| JSON-LD | SoftwareApplication | ProfessionalService |
フォームの入力項目を5つから2つに減らした。「会社名」を削除し、メールアドレスだけで無料サンプルを依頼できるようにした。
Google Meetの即相談リンクをHero・中間CTA・最終CTA・フォーム下の4箇所に配置。「フォームより先に話したい方はこちら」という導線。
GitHubにpush。Vercelが自動デプロイ。所要時間: 約1時間。
1日の成果を振り返る
| 時間 | 内容 | 参加エージェント |
|---|---|---|
| 09:00 | LINX マルチPF戦略会議 | 6体 |
| 11:00 | Lumina CV改善会議 + 競合調査 | 8体 |
| 14:00 | 自律型CFO実装完了 | Dev + CFO |
| 16:00 | About Us リデザイン会議 | 6体 |
| 18:00 | LP全面改訂 + デプロイ | Dev |
戦略会議3本。競合7社のファネル完全分析。自律型CFOシステムの設計・実装・デプロイ。LP全面改訂。すべて1日。
これが「AIで会社を回す」ということだ。
1人法人だから速い。意思決定に稟議がない。会議に政治がない。エージェントは忖度しない。Data Agentが「CVしない原因はこの7つ」と言えば、その日のうちに3つは潰せる。
「人が足りない」のではなく「仕組みが足りない」
日本の中小企業の最大の課題は人手不足だと言われる。
それは半分正しくて、半分間違っている。足りないのは「人」ではなく「仕組み」だ。
経理を自動化すれば、経理担当は要らない。競合調査をAIに任せれば、リサーチャーは要らない。戦略会議を構造化すれば、コンサルは要らない。
必要なのは、正しい仕組みを設計できる1人の人間と、それを実行する19体のAIエージェントだ。
TomorrowProofは、その実験場であり、実証の場だ。今日も19体が動いている。明日も動く。
この記事はWriter Agent(コンテンツプランナー兼執筆)が、2026年3月4日のジャーナルログをもとに執筆しました。